NST稼動施設認定 要綱(予定)

本制度の目的

 本協議会は、医師、薬剤師、管理栄養士、看護師、臨床検査技師など様々な職種からなるNSTの活動の場を広げ、適正な栄養療法の普及を通じた医療の質の向上を図るべく、チームによる臨床栄養管理およびそのスタッフの育成を積極的に行う医療施設に対し施設認定を行うこととする。

 本認定は、当該医療機関がNSTによる栄養管理の充実と普及に努め、医療の質の向上ならびにそれを通じた患者及び家族等のQOLの向上のために最善を尽くす施設であることを保証するものである。ただし、本認定資格の有無により、各医療機関における栄養治療を含む診療行為に対し何ら制限を加えるものではない。

諸学会による個人資格および施設認定と本制度の関係

 本協議会は、既に制度化の下に円滑運用が行われている諸学会による個人および施設資格認定制度との関連につき協議を行い、以下の点を確認した。

 従来実施されている資格認定は、医療および健康に関する栄養・代謝学的学術研究と教育および臨床への応用・貢献等を共通する目的として、各学会が対象とする学術・臨床分野および会員の特性に基づき制定されていることを深く理解し、今後もその存在意義を十分に尊重する。

 従って、本協議会による資格認定制度は従来の各学会・各団体の認定制度に拮抗し、否定するものではないことが確認されている。その合意の下に、各学会の協調支援を仰ぎ、病院における職域の横断的チーム医療としての栄養療法(NST)の啓発、普及と質的管理を目的としたものである。

NST稼動施設認定基準(予定)

日本栄養療法推進協議会は以下の基準を満たす医療機関から所定の手続きによる申請があった場合、厳正なる審査の上、「NST稼動施設」として認定する。

  1. 施設長の命によってNSTの活動・運営が施設内にて組織横断的に行われている(施設長がこれを証明できること)
  2. NSTのチーム責任者が明確である
  3. 医師、薬剤師、管理栄養士、看護師、臨床検査技師の参加は必須とする
  4. 当協議会が認定するNST医師が少なくとも1名は常勤し、NST活動を行っている
  5. 当協議会が認定するNST薬剤師、NST管理栄養士、NST看護師、NST臨床検査技師が各1名ずつ活動に参加している
  6. 定期的な回診(ラウンド)および検討会(ミーティング)を実施している
  7. 症例や治療法、管理法に関する質問(コンサルテーション)に対応する機能を有している
  8. 入院患者に対する栄養評価などを行い、栄養障害あるいは栄養障害をきたす可能性が高い症例を抽出し、適切な栄養療法を実施している
  9. NST対象症例個々の栄養管理および指導内容が記録され保存されている
  10. 栄養療法および栄養管理に関する成績(データやoutcome)を集積し、それを基に現行の実施方法を改善させる機能を有している
  11. 褥瘡チームや感染対策チームならびに、リハビリテーション部門などの他のチーム医療や部門とのコラボレーションがはかられている
  12. 病院食に関して適切な指導・提言を実施している

以上は、当協議会がNST稼動施設の認定に際し、最終的な目標として掲げる認定基準である。ただし、この認定制度の運用が開始されるまでの期間、経過措置として別途定める暫定認定を実施することとする。

暫定認定基準はこちら